Fragments of Fragment Mondriaan|Apple tree

モンドリアンのリンゴの木を題材に。 Hoste が見ていた抽象への進化と彼の時代とその人々。

‘…en ik zie nog, als gebeurde het gisteren, hoe lenig Mondriaan danste onder de appelboom op de dansvloer van Hamdorf te Laren.‘.

HUIB HOSTE

Evolutie naar de Moderne Architectuur
Streven 1956

「…そして、まるで昨日のことのように、ラーレンのハムドルフのダンスフロアのリンゴの木の下でモンドリアンが軽快に踊っていたのが今でも目に浮かびます。

‘…et je peux encore voir, comme si c’était hier, comment Mondrian agile dansait sous le pommier sur la piste de danse de Hamdorf à Laren. …’

‘…and I can still see, as if it happened yesterday, how agile Mondrian danced under the apple tree on the dance floor of Hamdorf in Laren. …’

Blossoming apple tree *oil on canvas *78,5 x 107,5 cm *1912
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Onze tijd|To Abstract

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私たちの時代|抽象へ
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Huib Hoste の時代は、それまでは存在していなかった抽象絵画が生まれました。そして Hoste は家族とともにオランダへ疎開していた際に Mondrian や Theo van Doesburg たち De Stijl のメンバーとその瞬間を共にします。

…als gebeurde het gisteren, hoe lenig Mondriaan danste onder de appelboom op de dansvloer van Hamdorf te Laren. …”
ラーレンのハムドルフのダンスフロアのリンゴの木の下でモンドリアンが軽快に踊っていたのが今でも目に浮かびます。

「ハムドルフのダンスフロア」とはオランダのラーレンあったホテルを指します。ここは芸術家たちのサロンでもあったようです。ここにHosteも招かれ、彼らとともに過ごしたことを回想しているようです。モンドリアンの「リンゴの木」というと彼が抽象へ向かう一連の作品を指しているのでしょう。この作品は1908年頃から1912年までの4作品があります。Hosteが疎開していたのは1914-18年の戦時中でしょうから、「Blossoming apple tree」が完成していました。このことを比喩的に表現しているのかもしれません。「Evening; Red Tree」以外はパリで制作されたと記録にあるので、それらがこのサロンにあったとすれば、1908年頃にアムステルダムで制作されたとある「Evening; Red Tree」かもしれません。ここでは Hoste の時代に生み出された4作品とともに抽象絵画への思考の軌跡を見てみます。

Piet Mondrian, 1908-10, Evening; Red Tree (Avond; De rode boom), oil on canvas, 70 x 99 cm, Gemeentemuseum Den Haag
Piet Mondrian, 1911, Gray Tree (De grijze boom), oil on canvas, 79.7 x 109.1 cm, Gemeentemuseum Den Haag, Netherlands
Piet Mondriaan, 1911, Horizontal Tree – Arbre
Piet Mondriaan, 1912, Blossoming apple tree
*oil on canvas
*78,5 x 107,5 cm

面白いのは、Mondrian が最初の「赤い木|Avond; De rode boom」を描いたきっかけになったのが、ベルギーの Emile Verhaeren の詩「L’arbre」で、そのエミールの初期作 Les Flamandes は、絵画(16〜17世紀のフランドル絵画、特にルーベンスやブリューゲルなど)がインスピレーションになったらしい。
インスピレーションの瞬間は、直接的なものだけでなく、見たり聞いたり感じたりしたものが後になって自分の中で突然繋がることも多い。そういったことがあるということが、歴史の連なりの理解には大切だと思う。

L’arbreAvond; De rode boom

この詩では精神的・宇宙的な自然との合一が志向され、樹木が単なる対象ではなく、「自己」として感じられていたり、葉が落ちる=時間が過ぎる=自己の喪失、という象徴的なメタファーが詩の中心で記憶・個体性の散逸を自然の運動として受け入れていたり、「葉」「風」「命」「記憶」など、自然に見えるがすべてが人間の存在の寓意で、主語「je(私)」と「l’arbre(樹)」がほとんど等価的に扱われている。ここにはすでに「自我の崩壊」と「普遍性への拡張」が現れており、「L’arbre」における詩的展開は、ヴェルハーレンが自然と個人の境界を崩しつつ、個としての自我をより抽象的・象徴的存在へと昇華しようとする試みとして読めます。こう考えると後の抽象表現主義やモンドリアンの辿る思考への連なりが見えるのかもしれません。

画家であった Mondoriaan が Emile Verhaeren の詩に触れたように、Huib Hoste のテキストでは、社会構造を可視化しようとする Émile Zola が引用されています。本質を理解するために「抽象的に」物事を捉えようとする姿勢がモダニズムの本質にあります。
社会的不正義を告発し、自然主義的ディテールで「見えない構造」を可視化しようとしたのに対し、Hosteもまた建築の中に倫理的・社会的な空間の透明性を求めました。

冒頭のHosteのテキストには続きがあります。

“De meestal ultra linkse politieke ideeën van die mensen konden mij niet hinderen; ik kon mij tevreden stellen met hun positieve artistieke tendens, daarbij denkend dat eenieder individueel het nodige kon bijdragen om de vele misbruiken in de maatschappij te helpen opheffen.”
「彼らの多くが非常に左派的な政治思想を持っていたとしても、私はそれに妨げられることはなかった。彼らの前向きな芸術的傾向に私は満足していたし、それぞれが個人的に社会にある多くの不正を取り除くために必要なことを果たすことができると考えていた。」

HUIB HOSTE
“Evolutie naar de Moderne Architectuur”
1956-1957, Streven

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Modern rationality|Craft ethics